去年の12月に入社した一年目の25歳のスタッフです。
日頃から原理と観点については言葉で伝えているつもりですが、最近初めて練習台に土を塗りました。一度やって見せただけなのですが、私の2年目ぐらいには塗れています。最近も暗くなるまで自発的に頑張っています。
2年目の30歳のスタッフも練習を重ねています。
写真は入社間もない頃ですが、今では私の3年目ぐらいには塗れています。彼も自発的に練習をしていました。最近でも自分の時間を割いてやっているようです。
彼の仕事です。
これは内装の壁を仕上げるための下地なのですが、役物と言って角の曲面を特殊な形状の鏝で仕上げる高度な技術です。
彼に対しても一度やって見せて私は現場を離れましたが、自分で工夫をしながら十分に仕上げました。施主様が生活をしながらの工事なので、精神的にはかなり負荷がかかったと思いますが下地としては十分な仕上がりです。
私は2年目ぐらいでようやく少しだけ鏝を持たせてもらえました。それまでは鏝など持とうものならば烈火のごとく叱られました。しかしそのお陰で意地を張らせてもらうことにより、厳しかった職場の環境にも耐えることが出来ました。
私はもともと不器用なので繰り返し練習を積み重ねることと、自分なりに工夫をすることでなんとか人並み以下ぐらいにはなれていたと思います。
独立させて頂いてから10年目ぐらいの頃に、本格的にこの中塗り練習に打ち込みました。仕事を終えてから毎晩夜中まで塗って剥がしてまた塗ってということを繰り返しました。
私は40歳を目前にしてようやく左官職人と名乗っても大丈夫かな?と思えました。恥ずかしくてあまり人には言えないような遅すぎる年季明けです。
遠回りと迷走を繰り返して20年もかかってしまいましたが、自分の中では長年の悲願の達成だったので誰もいないところでは涙も流しました。なので私にとっては不器用は宝です。
しかし彼らは私とは違うと思います。他にも見習いが何人もおりますが、それぞれにそれぞれの特性があり感性も様々です。そこに優劣はなくただ個性があるのみです。
これまでにも大勢の人たちが門をくぐって来てくれましたが、私の至らなさにより左官職人にしてあげられることが出来ませんでした。左官職人でもない者が教えていたのだから今思えば無理があったのかもしれません。
それに馬鹿なので自分が通ってきた道を押し付けていたのだと思います。恥ずかしながら手も足も出していました。叱っていたのではなく怒っていたのだと思います。
まだまだ至らないことだらけでご迷惑をお掛けしてしまうことも多々あるかと思いますが、私たちは一度した失敗を繰り返すことは致しません。
私達は職人としての高みとは人としての高みだと考えます。この観点で日々精進し続けられている間に限っては、自信を持って良いものを作り続けることが出来ると思います。
私達は甲州左官工房です。
美しくて上質なものをご提供させて頂くことが出来ると思います。
素敵なご縁を心待ちに致しております。
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